こんにちは。豊中（蛍池）の歯医者さん
小児歯科（子供）、妊産婦歯科健診も受診可能な【いけだ歯科】です。

異性化糖のルーツについて探ってみましょう

第二次世界大戦の前、日本は台湾から大量のサトウキビを輸入していました。戦争の前には、一人あたり16kgもの砂糖を食べていましたが、終戦直後は0.2kgにまで落ち込みました。戦後、台湾や沖縄からサトウキビの輸入が途絶え、全く口に入らなくなったのです。同じことが世界中で起こっていました。そこで各国は、甘い味を求めて、人工甘味料の研究を盛んに行いました。異性化糖は、このような状況の中、1970年代に日本で開発されました。ちょうどその頃、アメリカではキューバ革命により砂糖が不足していました。そこで、トウモロコシのデンプン（コーンスターチ）から、高果糖液糖のガムシロップ（コーンシロップ）を大量に作り出したのです。おりしも冷蔵庫や自動販売機が普及し始めました。そのため清涼飲料水が世界中で飲まれるようになりました。現在では、氷菓やシュークリームなど冷やして食べるお菓子にも使われるようになりました。さらには、缶詰やパンや焼き肉のタレやめんつゆなどにも利用されています。しかも砂糖より3割も安いのです。それは、サトウキビから作った方が手間がかかるのです。まずは細かく裁断し汁を搾って煮詰めて、さらに不純物を取り除かなくてはなりません。これは、北海道で作られる「砂糖大根（てんさい）」と同じです。
一方、アメリカは世界最大のトウモロコシの生産国です。また、異性化糖は興行的に大量生産が可能です。しかも液体なので砂糖を溶かす必要もなく輸送に便利です。果糖の濃度を調整して甘さを変えることも出来るので日本でも異性化糖の使用量が砂糖を追い越しています。
では、虫歯に対してはいかがでしょうか？
虫歯を作るミュータンス菌はブドウ糖や果糖からも酸を作り出します。歯へのこびりつきやすさには多少違いはありますが基本的には砂糖と同じと考えてください。

異性化糖の別次元の問題

オーストラリアでは内臓脂肪つまり肥満予防が問題になっています。肥満により２型糖尿病などの生活習慣病が増え、医療費が高騰しています。これは国家にとってゆゆしき問題です。オーストラリアは肥満が急増しメキシコやアメリカに次ぐ世界の「肥満大国」となっています。

ここで問題です。日本では町を歩くと100ｍに１軒コンビニがあると言われていますが、オーストラリアの都市では、100ｍ歩くとどんな店に行き当たるのでしょうか？
① ドラッグストア
② ファストフード店
③ スポーツジム
正解は③スポーツジムでした。それだけ肥満が多いと言うことが言えます。

1955年アメリカのアイゼンハワー大統領が心臓発作に襲われました。これをきっかけに国民の心臓病に対する関心が高まりました。その原因として「脂肪」と「砂糖」の2つの説が浮かび上がり、犯人捜しが始まりました。そして20年後の1970年に脂肪が悪者になり砂糖が無罪になりました。これをきっかけに低脂肪ブームが始まったのです。しかし、それではカロリー不足になるので砂糖を加えたのです。それで低脂肪をうたっている食品に多量の砂糖が入っているわけです。アメリカでも1960年代までは肥満が少なかったのですが、わずか50年で2倍以上に増えたのです。現在、フランス・ハンガリー・アメリカ・メキシコなどでは「砂糖税」が導入されています。WHOも砂糖税を各国に呼びかけています。その主なターゲットは、「砂糖入り清涼飲料水」中でも、異性化糖の使用量と肥満の増加が一致するそうです。なぜ砂糖ではなく異性化糖なのかというと問題は果糖の過剰摂取にあるからです。ブドウ糖は吸収されると血管を通してすみやかに脳や筋肉などの全身のエネルギーになります。しかし、果糖はまず肝臓に行きます。そして、エネルギーになり直接血糖値を上げません。その代わり、余った果糖は脂肪になり肥満になります。つまり、果糖の方が太りやすいということになります。また、ブドウ糖は体内で血糖値を上げるので、脳の満腹中枢が刺激され満足感を得ます。しかし、果糖は直接血糖値を上げないので満腹感が得にくくなります。だから食べ過ぎになるわけです。
では、果物もダメなのか？
果物には果糖のほかにデンプンや食物繊維それにビタミンやミネラルなども豊富です。リンゴを食べると食物繊維の作用で、果糖がゆっくりと吸収されます。だから自然の果物は適度に食べるのは問題ありません。
異性化糖はというと清涼飲料水の果糖は液体なので一気に、しかも急激に体内に入ります。すると、肝臓に多量の果糖が押し寄せることになります。つまりリンゴは、ジュースにするより噛んで食べた方が良いのです。

むし歯だけでなく、肥満予防からも清涼飲料水の飲み過ぎに注意してくださいね。

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